ワタナベカメラ閉店。
先月末で、ナベカメが閉店になった。
いつかはこの日が来ると分かっていたけど、こんなにも早く、こういう形でやってくるなんてまったく予想もしていなかった。なんだか、まだ嘘みたいだ。ついこないだまでアナログプリントしていたのに。。
閉店するという話をきいて、すごくびっくりしたけど、聞いたときはその意味をイマイチ理解できていなかった。もう、あのプリントをしてもらうことができなくなるのだということの意味を。
このブログでもナベカメについてはちょくちょく書いてきたけど、そのプリントは本当に独特で、色に深みがあって、しっとりしていて、すごく立体的。
最初はこれまで見てきたプリントとの違いに戸惑ったりもしたけど、気づくとすっかりそのプリントが好きになっていて、ネガをナベカメに持って行くのをいつも楽しみにしていた。
閉店するなら、溜まってるネガをどこに出そうかなと悩んでいるんだけど、なかなか決められない。それは、これまでナベカメにプリントしてもらってたのは、アナログだからいいというだけの話ではなくて、店長のプリントだからだったんだなーと、今になってはっきりと分かった。それは技術的なことだけではなくて、人柄も含めて。
写真は撮って終わりじゃなくて、現像とプリントがあってこそ。最後のプリントで写真の印象は大きく変わる。だから、プリントって本当に大切で、それをお願いするのはやっぱり顔を合わせて話ができるお店がよくて、信頼できる人がいい。プリントが上手なお店がたくさんあることも知っているけど、まだその一歩が踏み出せない。全部、ナベカメでプリントしてもらうつもりでいたしなぁ。ちょっとまだ気持ちの整理ができてないな。
お店に行くたびに、店長は色んな話をしてくれた。
昔、645のモノクロで公園で遊ぶ子供を撮影して、手焼きしていた方がいたらしく、その方の写真がほんまに素敵で、大好きだった、という話をしてくれたことがあった。
その方は、町工場で働きながら趣味で写真をされていたらしく、無口だったけど、すごく優しかったそう。毎週末、公園に行っては撮影して、現像、プリントをしていたのだと。いっつもその公園に行ってるから、子供たちも慣れて気にしないから自然な表情で写っている。そして、そのプリントも本当に上手で綺麗なプリントだったと。その話し振りからもすごく好きだったという気持ちが伝わってきたのをよく覚えている。
誰に見せるでもなく、ただ写真と子供が好きだから撮る。そんな写真がいい、たぶんそんな話だった。そして、最後に「僕は、名もなき人が撮る写真が好きなんです。あんたも名も無き人やろ?」と言ってくれた。
店長の言わんとすること、なんとなく分かっているつもりでいる。
シャッターボタンを押す時、みんな何かの想いを持って押している。その気持ちはどれも大切なもので、そうして写された写真はどれも素晴らしい。
今日の写真は、僕がナベカメに行きだした最初の頃にプリントしてもらったもの(プリントをスキャンして貼っている)。今年の5月くらい。僕は、だいたい半年くらいしかナベカメでプリントすることができなかった。
これからたくさん写真撮って、ナベカメでプリントしてもらうつもりでいたのに。本当に残念。
ナベカメのHPにあるプリンターの音を聴くとあの場所で色々話をしたりプリントしてもらったことが思い出されて泣きそうになってしまった。もう、あの音も聞けないんだなぁ。
店長はじめ、ナベカメのみなさん、本当にありがとうございました。
ナベカメに出会えて、もっと写真が好きになりました。これからも色々悩むと思うけど、ずっと写真は続けていくのだと思います。またどこかで再開できるといいなぁ。
そして、店長の一日も早い回復を祈っています!