Appleの新しい写真アプリケーションが楽しい。

先週、OSX Yosemiteが10.10.3にアップデートされたので、自分のiMac (21.5-inch, Late 2013)にもインストールしてみたら、新しい写真アプリケーション、「写真」が一緒に追加されていた。
このアプリケーションはApertureとiPhotoの後継アプリケーションの位置付けということらしく、すでにApertureとiPhotoはダウンロードできなくなっている。
個人的にはApertureのUIも好きだったし、何よりも写真の管理のしやすさが抜群だったのでずっと愛用していたから、この新しい写真アプリケーションにはかなり期待していた。アプリの紹介記事を読んでいると、Apertureが発展的に解消されて「写真」に移行されるという話だったような記憶があったので、Apertureで使える機能プラスαがあるアプリケーションになるのかぁ、とか。

すでに使用している人のレビューがちらほらとネット上でも出てくるようになっているのだけど、あまり評価が芳しくない記事が多かったように思える。というのも、その記事を書いている人はApertureを使っていた人が多かったし、現像の機能がだいぶ縮小している影響が大きいのではないかと思う。

だから、ずいぶんと不安もあったけど、とりあえず使ってみた個人的な感想をちらほらと。主に、UI・写真管理と現像処理、クラウドサービスの3つについて。

 

まず、UI・写真管理についてだけど、第一印象は、予想していたほど「写真」アプリは悪くない、むしろスッキリしていて気持ち良いというもの。

デフォルトのUIはiOSの写真アプリケーションとほぼ同じような形だけど、サイドバーを表示させると(option+command+s)、見慣れたフォルダやアルバムの表示が出てきて一気にApertureと同じような感じになった。
だから、写真の管理のしやすさはApertureとほぼ同じなんじゃないかなーと思っている。Apertureではフォルダ、プロジェクト、アルバムという概念があって写真を管理していたけど、新しい写真アプリケーションではフォルダとアルバムとスマートアルバムという整理に変わったみたい。

スマートアルバムはまだ使ったことないけど、名前とか場所とかステータスとかの一定の条件に当てはまる写真を集めてくれる機能らしい(違っていたらすみません)。iPhotoでは写真の枚数が多くなってくると動作が重くなるからApertureに変えた、という人も多かったみたいだけど、新しい写真アプリケーションでは今の時点では動作も快適だし、とくに動作に不安を感じるようなところもない。

 

PENTAX MZ-5N smcPENTAX-M 50mm f1.7

PENTAX MZ-5N smcPENTAX-M 50mm f1.7

 

次に肝心の現像処理について。

これは残念ながらApertureに比べれば機能的にはだいぶ縮小したなぁ、という感じ。厳密に出来上がりの写真を比べているわけではないけど、調整できるパラメーターが減ったから、やっぱり機能が縮小したと感じてしまう。
ただ、必要最低限はあるという感じだし、むしろ無料のアプリであることを考えると破格の機能ではある。現像のUIはシンプルで触っていて気持ちが良いし、Apertureと同じで個人的には気に入っている。
ただ、ブラシもトーンカーブもないという状況だし、デフォルトの状態では明るさ調整とカラー調整があるだけ、みたいな状況だったので、最初はかなりびっくりした。
追加していけばシャープネスとかビネットとかノイズ除去、レベルとかが出てはきたものの、Apertureとはだいぶ思想が変わったような印象が強い。

フィルター機能とかも追加されているから、これまでよりも簡単にわかりやすく作業できるようにする方に重きが置かれていて、細かな調整を自分でやるための機能実装についてはこだわっていないように感じさせられる。それなりに現像もできるけど、どうもメインに考えているのはライトユーザーで、Instagramみたいに簡単なフィルターを使うような人たちを考えているような雰囲気。
根本には、ややこしい調整をしなくても、簡単に素敵な写真に現像する、というような思想があるのかもしれない。細々色々と調整しなくてもこれで十分に素敵な写真に現像できるでしょ、っていうような感じかなぁ。。。

Lightroomと比べると、段階フィルターがないとか、トーンカーブがないとか、粒子感の調整ができないとか、パープルフリンジの除去ができないとか、彩度の設定がおおまかだとかレンズプロファイルがないとか、色々とできないことは多い。
個人の好みに応じた現像処理をしたい場合はこの新しい写真アプリケーションではなく、Lightroomを間違いなく使うと思う。LightroomのUIには未だに慣れないけど…。

ただ、その設定がないとどの程度困るのかと聞かれると僕の場合はちょっと答えにくいかも。

仕上げたいイメージがあって、「写真」ではどうしても仕上がらない、という場合はLightroomとかPhotoshopで、ということになるのだろうけど、それがどのような場合になるのかは今のところはわからない。仮にこの新しい写真アプリケーションしか手元になかったら、それだけでそれなりになんとかなると思うし、これから少しずつ機能強化が図られればもっといろんなことができるようにもなるかもしれないし。

だから、Apertureよりは現像機能としては縮小されているけど、ApertureとLightroomの現像機能だけを比べてみれば以前からLightroomの方がいいなと思っていたし、個人的には結果としてあまり影響がないとも言える…。
LightroomとたまにPhotoshopで現像処理をしつつ、写真管理はApertureでするというちょっと面倒な状態が続いていたのだけど、このApertureで写真管理していたのが新しい写真アプリケーションに変わるだけかなぁ。
たまには現像もするかもしれないけど。

 

最後にクラウドサービスについて。

僕の場合、既存のファイル容量が200GBちょっとあったので、使おうと思うと500GB分で月額1,200円かかることになる。正直、ちょっと考える金額。そして、お金払ってまで使うサービスなのかがちょっとまだよく分からない。同じようなサービスならグーグルプラスの写真で1TBで月額10ドルっていうのがあるし、そっちを使った方がいいのでは?っていう気もする。その場合、グーグルプラスにアップロードする作業がいるけど、そんなのはドラッグすればすぐ終わる話だし、そっちの方がよさそうな…。

Flickrと比べてiCloudの価格が高い、という意見もあるみたいだけど、FlickrはRAWファイルを扱えないし、ちょっと性格が違うサービスかな、と思う。Adobeのクラウドサービスは20GBだし、やっぱり内容的に真っ向からぶつかるのはグーグルプラスだなぁ。

なんとなくなんだけど、今までの経験ではAppleのクラウドサービスにはあまりいい印象を持っていない。mobile meという過去のサービスもなんかいまいちだったし、今回もちょっと様子見かな。よほど便利な感じがでてこなければ、同じクラウドサービス使うにしてもグーグルを選ぶ気がする。

Apertureをがっつりと使い込んでいたような人はこの新しいアプリではちょっとというかだいぶ物足りなさを感じているのではないだろうか。

 

でも、写真の整理のしやすさはやっぱり圧倒的。

だんだんとアップルの態度は変わってきているかもしれないけど、それだけ、ユーザーも変わってきているということだと思う。数の面でも質の面でも。そもそも過去と比べてコンピューターを使う人の層が圧倒的に広がっているから、一部のコンピューターを好きな人だけでなく、より多くの人が求めている機能、ということになってくるとこういう答えになったんじゃないだろうか。

 

写真を管理する、見る、調整する、という観点から考えるとこの新しいアプリケーションはすごくいいと思う。動作も軽いし、管理しやすいし、UIもすっきりしていて使っていて気持ちがいい。
調整だってそれなりにできてしまうし、これで事足りるケースの方がきっと多いと思う。

使うまではだいぶ警戒していたけど、こうして使いやすいアプリを作ってしまうAppleってやっぱりすごいわ。

 

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