インフルエンザと記憶と自分の気持ち。
熱を計ると38度ちょっとあったのだけど、それでもまだ悪寒がひどくて体はぶるぶる震えるし、おかしいなーと思って病院に行ったらB型インフルエンザだった。39度の熱が2日ほど続き、しばらくは熱が下がる気配も感じられなかった上に頭痛もひどかったものだから、すっかり弱気になってしまい、もう社会復帰なんてできる気がしないとか思ってたのに、そんな不安をあざ笑うかのようにいつもの生活はあっさりと戻ってきた。
「もしもこのまま体調が元にもどらなかったらどうしよう…」とちょっと本気で考えた瞬間もあったんだけどなぁ…。
インフルエンザくらいで何を大げさな、と思うだろうけど、初日に行った病院では“ただの風邪”と言われたものの、熱が下がる気配が全くないし、これはいったいどういうことなんだとちょっと不安になってしまった。体の手応えとしても「もうちょっと寝たら少しよくなりそうだなー」というのが全くなかったというのもあってずいぶん弱気になってしまったみたい。
そういう状態にもかかわらず頭の中に出てくるのは写真とカメラのことばっかり。
「あー、あのレンズ使ってみたい」とか「あのカメラ使ってみたら写真を撮る感じ変わるのかなー」とか色々。
きっと頭の中には撮ってみたい写真のイメージがあるんだけど、それを形にできないフラストレーションのようなものが常にあって、それを解消するにはどうしたらいいのかっていうことをずっと無意識のうちに考えているのかもしれない。それか、単なる物欲か。うーん、後者の方が可能性高そうな気もする…。
いずれにしても、高熱にうなされていたのに、それでも写真とカメラのことが頭の中をぐるぐるするなんてそれっていったいどういうことなんだろうかとちょっと考え込んでみたりした。
そういえば、こうやっていろんなことを考えてみるということそのものがかなり久しぶりだった。5年ほど前に新型インフルエンザで寝込んだ時以来かもしれない。
タミフルが効いてきたのか、週末には体はそれなりに楽になってきたので、ただ寝ているだけという生活は暇だなぁと感じるようにもなり、ものすごく久しぶりにゆっくり音楽を聴いたり本を読んだりして過ごしていた。
そうすると、不意に大学生の頃に学生寮で怠惰に過ごしていた日々の感覚が蘇ってきて、その瞬間ふわっと心が軽くなったかのような、心がすーっと落ち着くような懐かしいような感じがした。ほんの一瞬だけだったけど。そして、当時のこととか今のこととかをぼーっと考えたりしていた。
僕は学生だった頃、当然ながらまだ若かったということもあるけど、今から考えると信じられないくらい世間知らずだったし、夢ばっかり見てたし、理想論ばっかり振り回して分かったような口の聞き方をする、今の僕からするとかなり苦手なタイプの人間だった。
働く意味なんて全く分かっていなかったし(それは今もかもしれないけど)、世の中を斜にしか見ることしかできていなかったし、勉強はほとんどしていなかった。そのせいか、締め切りの日に卒論を提出しに行ったら、教官からは「お前が持ってくるとは思わなかった」と言われたし、就職後、同級生からは「就職の試験勉強してる時に『頑張れ』とは言ってたものの合格するとは思ってなかった」と苦笑いするしかないような告白をされたりしたこともあったし…。
そんな体たらくな学生生活だったにもかかわらず、当時のことが思い出されると、妙に落ち着く感じがするのは、当時は好きなことを思う存分できていたからだと思う。
法律とか経済とか政治とかそういう分野には全く興味が持てず、文学とか民俗とかにばっかり魅力を感じていた僕にとって、東京という場所は本当に魅力的だったから、暇さえあればいろんなところに出かけて行ってた。お金はなかったけど、時間だけは本当にたくさんあったので。
でも、またあの時に戻りたいかというと全くそんなことはなくて、今の方が充実感はあると思う。懐かしい気持ちが一瞬だけで終わったのはそのせいなんじゃないだろうか。
当時の方が良かったところがあるならそれは、好きなことを好きなだけしていた、というところだけ。今は時間が限られてくるから、当時のようにはいかないし。
それは当たり前だと言われることなのかもしれないけど、「本当に当たり前なんだろうか」と考え込む時がけっこうあって、本当のところよくわからないもんだから、寝込んでいる時にジョブズのスタンフォード大学でのスピーチを見てみたりなんかして、いろんなことを考えてみたのだと思う。
ここのところゆっくり何かを考えるということをしていなかったなぁ。
どういう写真撮りたいのかって考えることも大事だけど、どんな風に生きたいのかということに対してもちゃんと向き合って考えないと、いつまでたっても同じところをぐるぐるしてるだけで終わっちゃいそうだ。
さて、これからどこに向かっていこうか。
8 Comments
ふじお
2015年3月23日初めまして。いきなりの質問失礼します。
PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limitedを検討中でし。
室内での人物撮りでの使用感はどうでしょうか?そこまで明るいレンズではないのでAFが迷うことが多かったりしますか?
ふじお
2015年3月24日質問しながら、ここのブログを見ていたらDA35リミテッドでのお子さんを撮影してる記事がたくさんでてきて感動してしまい、勢いで注文してしまいました!DA35リミテッドでの人物写真があまり探してもなかったので大変参考になりました。同じくらいの子供がうちにもいるので勝手ながら親近感^ ^
レンズがきたら私もブログを立ち上げようとおもっています。
YOYO1981
2015年3月24日>ふじおさん
コメントありがとうございます!
遅くなってすみませんでした。
DA35リミテッドは室内でも問題なくAFしてくれますし、写りも僕はすごく好きなので、持っていればすごく便利なレンズだと思っています。
普通の撮影もしっかりと写ってくれますけど、マクロレンズなので、寄りでの撮影は真価を発揮する感じで特に写りが素敵だと思います。
子育てしながらブログを更新していくのは大変かもしれませんが、頑張りましょうね!!
mko
2015年3月26日こんにちは お久しぶりです。2月末に僕もインフルエンザ(たぶんB型)にやられてしまい、数日間寝込みました。起きれるようになってからもじゅうぶん1週間は体調が戻りませんでした。半世紀以上生きてきて、回復力が低下してきていることを、最近実感しています。
「いつまでも若く」「いつまでも元気で」「変わらぬ回復力」など、アンチエイジングを謳う商品や文句は世の中に多いですが、それってどうなの?と最近思います。年齢が上がれば、それに呼応して色々なものも変化していく(多くのものや事が、緩やかに衰え、下がっていきます)それが自然で美しいのではないのか?と単純に最近思います。(もちろん、ある時にとつぜん変化が起こり、そのまま急激に衰えたり、悪くなってしまうこともあるのですが)
そういうものやことがらを、緩やかに、穏やかに、受け入れていければいいなぁ、と思います。カメラも音も、その他も、できるだけ、許されるならアナログに向かい合うことができれば、そんな受け入れ方の生き方も可能になるように、思っています。
ワタナベカメラさんで、最後に焼いてもらった、アナログプリントを眺めながら、最近そんなことを考えています。
YOYO1981
2015年3月27日>mkoさん
こんにちはー!コメントありがとうございます。
インフルエンザ、本当に辛いですよね。なかなか体力が戻らないのは、発熱で消耗していることを考えると致し方ないのかもしれませんが、時間がかかることを実感すると色々と思うところもあるというか…。
でも、おっしゃるように、今の自分というものを自分自身がしっかりと受け入れるということが豊かな時間を過ごすにためは大切なことなのでしょうね。なかなか難しいことだとは思いますが。
ナベカメのプリントは好みが分かれるかもしれませんが、流行に流れず店長が信じるプリントを最後まで変わらずに貫かれてました。僕もたまにナベカメプリント見返してますが、アクの強さというか独特の色の濃さはいつ見ても素敵です。
時間が経てば変わるもの、いつまでも変わらないもの、色々ありますが、それぞれに良さがあると思うので僕などはよく迷ってます…。自分の心と素直に向き合うことができれば良い選択ができるようになるのかもしれないですが。。。
ふじお
2015年3月26日お恥ずかしいですがブログ開設いたしました。
時間があれば覗いてダメ出しおねがいします^ ^
YOYO1981
2015年3月28日>ふじおさん
早速開設されたんですんね…!行動が早い…!
ダメだしとか偉そうなこと言えるようなものではないのですが、シンプルで清潔感がある雰囲気ですし、これから記事が増えていけば魅力が増してきそうですね!
ブログってとにかく続けるということが大事だと僕は思っています。
時間がとりにくくてもちょこちょこでも続けていけば、少しずつブログの性格のようなものができてくるんじゃないかなぁと。逆に言うとある程度の蓄積できないと性格を出しにくいのがブログという媒体なのかもしれません。
小さい子供がいるとなかなか時間も無く、モチベーション下がる時も出てくるかもしれませんが、お互いブログ楽しんで続けていきましょう!
ふじお
2015年3月27日すいません、ブログからタンブラーに切り替えました。