シグマのカメラが素敵だと思うのは。
今、ほぼ日の「もっと写真が好きになる」で、写真家の菅原一剛さんとシグマの山木社長との対談が連載されている。今週はフォビオンセンサーができるまでの話とかが含まれていた。
シグマという会社の製品については、レンズは高い評価を得ていることが多いと思うけど、カメラについては、ちょっと評価が分かれていたりする。ちなみに僕はシグマのカメラが好き。
シグマのカメラがものすごく特異なカメラであるにも関わらず、ここまで好きだと感じる理由について、ちょっと考えてみた。
シグマのカメラの特徴については、色んなところで言われ尽くしている感があるので、ここではその詳細には言及しない。シグマのカメラについて詳しく知りたいという方は、こちらのサイトがシグマユーザーの間ではあまりも有名なので、こちらをご覧いただくのが良いかと思う。
製品の評価なんていうのは、人によって全く変わってくるので、一概に言い切ることなんてできるわけもないのだけれど、僕が使っているシグマのDP2sというカメラは、ずいぶん前に買ったカメラであるにも関わらず、今でも僕にとって間違いなく素敵な製品だ。
理由はたった一つ。このカメラで撮れる写真が好きだから。
身も蓋もない理由だけど。それしかない。シグマのカメラが好きだという人の理由はほぼこれであるに決まっている。
画像がシャープだとか解像力がすごいとかよく言われるけど、それは他のデジカメでも同じようにすごいカメラはいくらでもある。だからシグマのカメラで撮れる写真に惹かれるのはそれとは別の理由のなのではないかと思っている。
ものすごく感覚的な話だけども、フィルム写真に慣れ親しんだ身としては、「デジタル写真である」という理由から感じる違和感がすごく少ない。そして、シグマのカメラで撮れる写真は、なんか立体的な感じがする、なんか写真がスッとしている(抜けがいい、という感じかな)というような印象がある。要するによく分からなくて感覚的な話だけど、何かが違う。
その理由としてよく言われるのは、センサーが3層構造になっていて、光の捉え方がフィルムと同じだから、と言われたりするけど、技術的なことはよく分からない。
僕はマニュアルフォーカスのフィルムカメラを使っているので、シグマのカメラがISO200ぐらいまでしか使えないとかAFが遅いとかいうことは全く気にならないけど、こういうのは一般的なユーザーからしてみれば、この上なく使いにくいカメラだと思う。
山木社長もその点は認めていて、他のメーカーのカメラも使ってもらって、シグマのカメラも場面に応じて使ってもらえれば…という内容の話をされている。
こんな不便なカメラであるにも関わらず、熱狂的なファンがいて、製品が供給され続けているっていうのは、今の時代、すごく珍しい。この事実は、シグマのカメラで撮れる写真の素晴らしさが、カメラの不便さを補ってあまりあるものだという証だと思う。
デジカメが普及して、簡単に綺麗な写真が撮れることが当たり前になりつつあるけど、シグマのカメラで撮れる写真はちょっと別世界だから、他のカメラメーカーと同列で比べようとは思わない。手振れ補正無くても、AF遅くても、ホワイトバランスの扱いがめちゃ面倒でも頑張ればとびきりの写真が撮れるならこのカメラを使おうと思う。
難しいところもたくさんあるけど、上手くできれば自分の好きな写真が撮れる。これって、マニュアルのフィルムカメラと似ている。
デジカメの画像はすごくきれいになった。繊細で階調性も高くなった。でも、よく分からないけど、なんとなく違うなーと感じているところもあるような気がしていて。
シグマのカメラはそこのところを少し埋めてくれているような気がする。
だから、いくら不便でも、手放せないし、そのカメラで撮れる写真になんか魅力を感じているんだと思う。