捨てられない写真を生み出すにはどうしたらいいだろう

先週、ほぼ日の「写真はもっとおもしろがれる!」という企画で「高橋宗正さんと、6名の写真家に訊く」という対談が掲載されていた。

今回の対談に出ていた写真家はみんなそれぞれのスタイルがあって、写真の内容もそれぞれ違っているから、当然ながら話の内容もバラバラなんだけど、どれも本当に面白かった。まだ読んでいない方は是非とも時間があるときにでも読んでもらえたらいいなと思う。
その中でも、一番印象に残っていたのは山本昌男さんという写真家の会の最後に出てきた

 

究極的には「捨てられない写真を生み出すにはどうしたらいいだろう?」じゃないかな。

 

という言葉。
僕はこのほぼ日の企画で読むまでこの写真家のことを全く知らなかったのだけど、当たり前のようですごく難しくて、でも、ものすごく大切なことを分かりやすく話してくれていた。

他の写真家の人も言葉は違えども、同じような趣旨の内容が話の筋としては通っているように感じられて、それは「自分の写真についてとことん考えて、その実現のために労を惜しまない、とことんやる」というようなものだと思う。
「そりゃー、プロの写真家なんだし当たり前でしょ」と思われるかもしれないけど、ここまで考えて実際に写真を撮っている人ってはたしてどれくらいいるもんなんだろう。

他の誰とも違う、自分の写真を撮りたいと考えている人は本当にたくさんいると思うけど、そのことについてとことん考えて実際に試行錯誤しながら写真を作り上げていっている人って実はそれほど多くないんじゃないだろうかという勝手な予想をしている。
考えて、悩んでいてもそれを行動に移すのっていうは時間的にも難しい部分があるだろうし。

ジョブズの伝記でも、「途中で考えるのをやめてしまう人が多いけど、諦めずに考え続けると時として最良の答えが見つかることがある」というようなことが話されていたことがあったけど、まさにそれと同じではないだろうか。

なんとかしたい、と思いながらもそれを考えに考え続けてその上で行動に移すってものすごく難しいことだと思う。

逆に言えば、今回の企画で話をされているような写真家の人たちはそれができているからこそそれぞれ素敵な写真を撮れているんじゃないだろうか。

 

PENTAX K-5 smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited ISO80 F4.0 1/125

PENTAX K-5 smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited ISO80 F4.0 1/125

 

翻って僕たちのような写真が好きな一般人としてはどこまでできるだろう。
こういうことを考えるときに、一般人とかプロとかいうような線引きをすることはちょっとナンセンスのような部分があるような気もするんだけど、やっぱり写真にかけられる時間が圧倒的に少ないという点では明らかな差があるし。

今までもこういうことは考え続けてきているけど、結局は単純なところにしか行き着かない。
とにかく撮って、見直して、考えて、また撮る。

 

結局はこれを繰り返すことでしか前には進めない。
自分がどういう写真が好きなのか、何を撮りたいのかってとにかく撮ってみないとわからない。
自分で気がついていない部分もあるだろうし、撮ってプリントしてみて初めて気づくということもあるだろうし、たまたま撮れた一枚から何か得るものがあるときもあるだろうし。

どんな色の光が好きなのか、明るさ、向き、距離感とか色々あって、それも実際に撮ってプリントしてみてからじゃないと分からない部分がものすごく多い。

そうやっていくうちに、自分の好みの感じが分かってきたら、次はこうやって撮ったらどう写るかな、この設定にしたらどうなるだろう、とか撮り方を意識的に試行錯誤していくことでだんだんと自分が撮りたい写真を撮るにはどういう設定でどうやって撮ればいいかが少しずつ見えてくるんだろうと思う。

 

レンズとカメラを変えなければ、撮れる写真は同じはずなんだけど、露出と構図を考えるだけで全く違う写真が撮れる。ポートレートであれば、相手と自分の関係性も写真に影響してくるし、人でなかったとしても、自分が撮ろうとしているものに対してどういう姿勢でいるのかということは写真に影響すると思う。

それは、この連載でも出てきたような、どこまで必死になれるのかということで、仕上がりが変わるということにつながるからだと思う。
ちょっと角度を変えるだけで、光の入り方が変わって印象が変わることもよくあるし、少し引いてみるとか寄ってみるとかしてみるとそれでもまた違った写真が撮れる。何かを少し変えるだけで、写真は変わる。

要するに、どうやればベストと思われる写真が撮れるかどこまで必死に考えて粘り強く撮るか、ということ。

 

 

とはいうものの、そこまで時間をかけてじっくり撮ることって本当に難しい。
特に子供を撮っているときなんて、何回も撮り直したりできないし。
でも、だからこそここぞというシャッターチャンスに思った写真が撮れるように普段から色々考えていることがより大切になってくるのだとは思う。

結局は日々の地道な積み上げでしかなく、「あー、失敗したなぁ…」と感じることがが多くとも、後から見返してみたら、少しずつ進歩してる自分を感じられるようになるんじゃないだろうか。

 

そうやって写真を撮り続けていく中で、自分だけでなく、家族や友人にとっても大切な一枚というものを少しでも残していけたらいいんだけどな。

 

 

 

 

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