オールドレンズの描写。
このレンズを使うようになってから、レンズの光学性能の進化について少し考え込んでしまうことが増えてきた。
レンズは10年程度でリニューアルされることも多く、その度に描写力は向上しているのだと思っていたし、実際そうなのだと思うけれど、その程度は僕が思っていた程ではないようだ。素人の僕にとっては、ということなのだろうけど。
特にカメラがフィルムからデジタルになったことによって、レンズに求められる解像度が高くなったことや、テレセン性が求められるようになったので、古いレンズをデジタルカメラで使っても使い物にならないと思い込んでいた。
でも、僕の予想は見事に外れた。描写力に関しては、むしろすごく素敵なものだった。
レンズは、オートフォーカスや手振れ補正の性能はどんどん上がっているけど、描写力についてはどんなものなのか、正直分からない。よくレンズの解像力とかが数値化されて公表されたりしているけど、それと人が見ていいなと思う描写がどれほど関係しているものかもよく分からない。
レンズの設計は昔から大きくは変わっていないし、レンズだってガラス以外のレンズも使われるようになったけど、それは、描写力の向上のためというより同等性能を低コストで実現する為という趣旨のような印象を持っている。だから、設計も素材の性能もあまり変わっていないのであれば描写力がそう変わっていないというのは当たり前なのかもしれない。あとはコーティングの進歩というのがあるけど、ペンタックスに関して言えばごく最近までずっとスーパーマルチコーティングだったわけで、変化はない。(あたらしいHDコーティングが少し気になる。。。)
確かにオールドレンズはピントはマニュアルだし、露出もマニュアルで絞り込み測光だったりするから、不便ではある。ある程度カメラや写真の知識がないと使うのは難しい。
でも、それさえクリアーできれば、レンズの造りは今のものよりしっかりしているし、マニュアルフォーカスの感触もすごくいいし、価格も安いとくればいいことばかりだ。
確かに露出が正確で、測距点が多くてオートフォーカスが早く正確なデジカメなら誰でも綺麗な写真が撮れるけど、自分が撮ったというよりカメラが撮ったという感触が強くて僕はあまり好きではない。
何でもマニュアルが好きなので、こういう不便なものの方がむしろ愛着がわいたりする。デジタルはくっきりはっきりで確かに綺麗なんだけど、あまり数字に出てこないアナログな部分に本当に大事な何かが潜んでいるのではないかと少し疑ったりもしている。
この写真はRAWで撮って、リバーサルフィルムのモードで現像したもの。ボケ具合も自然だし、グラスや水、光の質感もほぼイメージどおりの写りだった。古いレンズでも描写は本当に素敵だ。
このレンズを使った撮影スタイルになってから、デジタルカメラでの撮影が楽しくなってきた。他にもオールドレンズ探してみようかな。